オプション損益の計算方法
満期時のオプションの価値は、権利を行使した場合に得られる本源的価値だけになります。callは株価がStrikeを上回る分、putは下回る分に価値があります。利益は、その価値から支払ったプレミアムを引き、1契約の対象株数を掛けて求めます。米国株オプションでは通常100株です。
Long callの損益 =(max(株価 − Strike, 0)− プレミアム)× 100 × 契約数 Long putの損益 =(max(Strike − 株価, 0)− プレミアム)× 100 × 契約数
売りの場合は符号が逆になり、プレミアムを受け取る代わりに本源的価値を支払います。複数レッグの戦略は、各レッグの損益を合計して求めます。
ヒント:満期前のオプションには時間的価値もあります。詳細設定で残存日数とインプライド・ボラティリティを入力すると、満期時に加えて現在のポジション価値も確認できます。
実例:call単独
株価100ドル、各レッグ1契約(100株)、手数料なし、満期時の価値で計算します。
株価の上昇を予想し、Strikeが100ドルのcallを1契約、1株あたり5.00ドルで購入します。
- 支払額:1株あたり5.00ドル × 100 = 500ドル。
- 最大損失は500ドル、最大利益は無制限です。
- 満期時の損益分岐点:105.00ドル。
- 満期時の株価が120ドルなら、Strikeが100ドルのcallの価値は1株あたり20.00ドルです。損益 =(20.00 − 5.00)× 100 = 1,500ドルの利益。
株価の下落を予想し、Strikeが100ドルのputを1契約、1株あたり4.00ドルで購入します。
- 支払額:1株あたり4.00ドル × 100 = 400ドル。
- 最大損失は400ドル、最大利益は9,600ドルです。
- 満期時の損益分岐点:96.00ドル。
- 満期時の株価が85ドルなら、Strikeが100ドルのputの価値は1株あたり15.00ドルです。損益 =(15.00 − 4.00)× 100 = 1,100ドルの利益。
100ドルで購入した株式を100株保有し、それを裏付けにStrikeが110ドルのcallを1契約、2.00ドルで売却します。
- 受取額:1株あたり2.00ドル × 100 = 200ドル。別途、株式の取得に10,000ドルを支払っています。
- 最大損失は9,800ドル、最大利益は1,200ドルです。
- 満期時の損益分岐点:98.00ドル。
- 満期時の株価が115ドルなら、100株の価値は1株あたり115ドル、Strikeが110ドルのcallの価値は1株あたり5.00ドルです。損益 =(115 − 100)× 100 +(2.00 − 5.00)× 100 = 1,200ドルの利益。
Strikeが95ドルのputを1契約、2.00ドルで売却し、株式を購入する義務に備えて現金9,500ドルを確保します。
- 受取額:1株あたり2.00ドル × 100 = 200ドル。
- 最大損失は9,300ドル、最大利益は200ドルです。
- 満期時の損益分岐点:93.00ドル。
- 満期時の株価が90ドルなら、Strikeが95ドルのputの価値は1株あたり5.00ドルです。損益 =(2.00 − 5.00)× 100 = 300ドルの損失。
100ドルで購入した株式を100株保有し、保険としてStrikeが95ドルのputを1契約、2.00ドルで購入します。
- 支払額:1株あたり2.00ドル × 100 = 200ドル。株式の取得費用10,000ドルに加えて支払います。
- 最大損失は700ドル、最大利益は無制限です。
- 満期時の損益分岐点:102.00ドル。
- 満期時の株価が85ドルなら、100株の価値は1株あたり85ドル、Strikeが95ドルのputの価値は1株あたり10.00ドルです。損益 =(85 − 100)× 100 +(10.00 − 2.00)× 100 = 700ドルの損失。
Strikeが100ドルのcallを5.00ドルで購入し、Strikeが110ドルのcallを2.00ドルで売却します。
- 支払額:5.00 − 2.00 = 1株あたり3.00ドル、× 100 = 300ドル。
- 最大損失は300ドル、最大利益は700ドルです。
- 満期時の損益分岐点:103.00ドル。
- 満期時の株価が106ドルなら、Strikeが100ドルのcallの価値は1株あたり6.00ドル、Strikeが110ドルのcallは無価値で満期を迎えます。損益 =(6.00 − 5.00)× 100 +(2.00 − 0.00)× 100 = 300ドルの利益。
Strikeが100ドルのputを5.00ドルで購入し、Strikeが90ドルのputを2.00ドルで売却します。
- 支払額:5.00 − 2.00 = 1株あたり3.00ドル、× 100 = 300ドル。
- 最大損失は300ドル、最大利益は700ドルです。
- 満期時の損益分岐点:97.00ドル。
- 満期時の株価が94ドルなら、Strikeが100ドルのputの価値は1株あたり6.00ドル、Strikeが90ドルのputは無価値で満期を迎えます。損益 =(6.00 − 5.00)× 100 +(2.00 − 0.00)× 100 = 300ドルの利益。
方向は読めないものの大きな値動きを予想し、Strikeが100ドルのcallとputをそれぞれ5.00ドルで購入します。
- 支払額:5.00 + 5.00 = 1株あたり10.00ドル、× 100 = 1,000ドル。
- 最大損失は1,000ドル、最大利益は無制限です。
- 満期時の損益分岐点:90.00ドルと110.00ドル。
- 満期時の株価が120ドルなら、Strikeが100ドルのcallの価値は1株あたり20.00ドル、同じStrikeのputは無価値で満期を迎えます。損益 =(20.00 − 5.00)× 100 +(0.00 − 5.00)× 100 = 1,000ドルの利益。
費用を抑えて大きな値動きに備えるため、Strikeが105ドルのcallと95ドルのputをそれぞれ3.00ドルで購入します。
- 支払額:3.00 + 3.00 = 1株あたり6.00ドル、× 100 = 600ドル。
- 最大損失は600ドル、最大利益は無制限です。
- 満期時の損益分岐点:89.00ドルと111.00ドル。
- 満期時の株価が85ドルなら、Strikeが105ドルのcallは無価値で満期を迎え、Strikeが95ドルのputの価値は1株あたり10.00ドルです。損益 =(0.00 − 3.00)× 100 +(10.00 − 3.00)× 100 = 400ドルの利益。
株価があまり動かないと予想し、Strikeが100ドルのcallとputをそれぞれ5.00ドルで売却します。
- 受取額:5.00 + 5.00 = 1株あたり10.00ドル、× 100 = 1,000ドル。
- 株価は上昇し続ける可能性があるため、最大損失は無制限です。最大利益は1,000ドルです。
- 満期時の損益分岐点:90.00ドルと110.00ドル。
- 満期時の株価が105ドルなら、Strikeが100ドルのcallの価値は1株あたり5.00ドル、同じStrikeのputは無価値で満期を迎えます。損益 =(5.00 − 5.00)× 100 +(5.00 − 0.00)× 100 = 500ドルの利益。
相場が落ち着くと予想し、Strikeが105ドルのcallと95ドルのputをそれぞれ3.00ドルで売却します。
- 受取額:3.00 + 3.00 = 1株あたり6.00ドル、× 100 = 600ドル。
- 株価は上昇し続ける可能性があるため、最大損失は無制限です。最大利益は600ドルです。
- 満期時の損益分岐点:89.00ドルと111.00ドル。
- 満期時の株価が100ドルなら、Strikeが105ドルのcallと95ドルのputはどちらも無価値で満期を迎えます。損益 =(3.00 − 0.00)× 100 +(3.00 − 0.00)× 100 = 600ドルの利益。
株価が一定範囲に収まると予想します。Strikeが95ドルのputと105ドルのcallをそれぞれ2.50ドルで売却し、損失を抑えるため85ドルのputと115ドルのcallをそれぞれ1.00ドルで購入します。
- 受取額:2.50 + 2.50 − 1.00 − 1.00 = 1株あたり3.00ドル、× 100 = 300ドル。
- 最大損失は700ドル、最大利益は300ドルです。
- 満期時の損益分岐点:92.00ドルと108.00ドル。
- 満期時の株価が110ドルなら、Strikeが85ドルと95ドルのputは無価値で満期を迎えます。Strikeが105ドルのcallの価値は1株あたり5.00ドル、115ドルのcallは無価値で満期を迎えます。損益 =(0.00 − 1.00)× 100 +(2.50 − 0.00)× 100 +(2.50 − 5.00)× 100 +(0.00 − 1.00)× 100 = 200ドルの損失。
損益分岐点・最大利益・最大損失
満期時の損益線は、Strike価格でのみ折れ曲がる直線の組み合わせです。そのため、最大・最小損益と損益分岐点を推計ではなく正確に求められます。計算ツールはすべてのStrikeと、最も高いStrikeを超えた先の損益線の方向を確認します。現物株でカバーしていないcallの売りが残る場合、株価が上がるほど損益線は下がり続け、最大損失は無制限です。callの買いや株式の買いでは、最大利益が無制限になります。
Covered callとProtective put
株式レッグを追加すると、株式とオプションを組み合わせたポジションを計算できます。Covered call(100株の保有とcallの1契約売り)では、値上がりによる利益はStrikeにプレミアムを加えた価格で頭打ちになります。Protective put(100株の保有とputの1契約買い)では、プレミアムを差し引いたStrikeの水準で下値リスクを限定できます。
よくある間違い
- 100倍することを忘れる。プレミアム2.00ドルなら、1契約の購入額は200ドルです。
- 満期時のチャートを現在価値と取り違える。満期前には時間的価値もあるため、満期時に利益が出るポジションでも証券会社の画面では損失が表示されることがあります。逆の場合も同様です。
- 必ず満期まで保有できると考える。アメリカン型オプションは満期前にも権利行使が可能です。特に配当の前後には、売りレッグで割当てを受ける可能性があります。
- 契約ごとの手数料を考慮しない。4レッグのIron condorでは、すべての契約に手数料がかかり、決済時にも再びかかります。
計算の前提
この計算ツールの仕組み。主な結果は、本源的価値に基づく満期時の評価です。任意の「現在価値」表示では、現在の株価、満期までの日数、全レッグ共通のインプライド・ボラティリティ、金利を用い、ブラック・ショールズ式(ヨーロピアン型、配当なし)で各オプションを評価します。1契約の株数は指定した値(初期設定は100株)です。手数料は新規取引時に1契約につき1回計上します。決済・権利行使・割当ての手数料、配当、早期割当ては考慮しません。戦略の初期設定に使うプレミアムは市場価格ではなく例示用です。



